FSUウォールの価値
建築業界では通常、外壁や内壁という場合、構造躯体に貼り付けるサイディングや下見板のような仕上げ材(製品)を指して言うことが多く、構造(躯)体まで含んで言う例は殆どありません。強いてあげるなら、打放しコンクリート(躯体)壁ぐらいでしょうか。打放しコンクリートはそれだけで構造(躯)体であり、仕上げ材とすることも可能な構造躯体壁です。FSUウォールも打放しコンクリート壁と同様で、躯体だけで、構造強度、断熱、水蜜、気密、蓄熱等の性能を有し、断熱材や仕上げ材を貼ることで性能アップをはかることも可能です。防火性能に関しては、コンクリートの耐火性能には劣りますが、延焼遅延(燃え代耐火)性能があります。また、FSUウォールには、他にはない調湿性能があります。このような意味でFSUウォールは木造打放し構造壁ということができるかもしれません。
活用方法
FSUウォールは厳密に言うと、在来の金物工法の木造軸組(柱と横架材)を耐力壁とするために、軸組の中に挿入して構造耐力壁とする、(木製角材ボルト連結)壁パネルのことを指します。本来の金物工法の耐力壁は筋交いや合板で構成しますが、FSU工法では壁パネルを挿入することで耐力壁を構成します。
軸組の金物工法は、一般的な工法として広く普及していて、プレカット工場は全国にありますが、FSUウォールを専門的に製作するところはありません。これまでのFSU工法では軸組のプレカット工場が壁パネルまで加工する場合と、材木屋さんが工務店と協力しながら壁パネルだけ製作して、現場で軸組と一体化する場合のふた通りでした。
FSUウォールはFSU工法の壁としての説明が多かったのですが、在来の金物工法の壁としての活用も可能ですので、壁パネル専門の製作供給事業に十分な市場が存在するということができます。そのためこの項ではFSUウォールを単独で取り上げ、工法から切り離して説明しています。
つまり金物工法の軸組に、FSUウォールを挿入して、軸組とセットの躯体とすることで、内外に石膏ボード等貼らずに防火構造や準耐火構造の躯体となり、木造躯体の現し仕上げの建築が可能になります。今後は非住宅等、金物工法の建築を見越して、壁パネルの製作供給事業が考えられます。
FSUウォールの定義
木質角材を立て並べ、それを緊結する丸鋼材を通すために掘削した同径の穴に密接させて数本通して束ねた無垢の壁パネルを総称して言う。
FSUウォールの種類
- FSUウォールは、構造評定と防耐火の認定による仕様規制を受ける。
- 防水、気密、断熱等の性能発揮のための詳細にも留意を必要とする。
- 横架材との固定はパイプ金物、柱との固定は薄板金物等を必要とする。
- 構造的には耐力壁と非耐力壁の二種に大別される。
- 非耐力壁は構造以外の性能発揮のため固定ボルトを3本としている。
- 耐力壁は、LSパネル、Lパネル、Sパネル、の3種類がある
- 厚みは105㎜から240㎜まで可能である。
- 幅は通常木造のモデュールに合わせ910㎜の柱芯を基準としている。
- 高さは、2.0以下、2.0~2.5、2.5~3.0、3.0~3.5、3.5~4.0mの5種類の杉材での耐力データを有する。
- 材種は杉以上のせん断耐力のある木材ならデータ使用可能である。
FSUウォールの提供
FSUウォールだけを枚数の条件付きながら提供する事業者は存在しています。
また、FSUウォールを活用して規格型の建築物を建て上げ、FSUスケルトンとしての提供やFSU工法の建て込みまでの構造躯体をFSUストラクチャーとして専門的に提供を検討している事業者もいます。各地でそのような事業者が多く出てくることを協会は期待しています。地域的に可能な場合は協会から事業者紹介します。